「指定可燃物って何?」
消防法を勉強している方や、倉庫・工場・店舗を運営している方の中には、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、指定可燃物はガソリンなどの「危険物」とは異なります。しかし、「危険物じゃないから大丈夫」と思って大量に保管していると、消防法上の規制を受けたり、消防署への届出が必要になったりする場合があります。
特に、
✔ 木材
✔ ダンボール
✔ タイヤ
✔ プラスチック製品
✔ わらや紙類
など、身近なものが指定可燃物に該当することも少なくありません。
「うちの商品は対象になる?」
「何kgから規制されるの?」
「消火器は必要?」
「消防査察では何を見られる?」
こんな疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、
✅ 指定可燃物とは何か
✅ 危険物との違い
✅ 指定可燃物の種類
✅ 数量基準
✅ 必要な届出や消防設備
✅ 消防査察で注意するポイント
まで、消防実務の視点から初心者にもわかりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、「指定可燃物って結局何?」という疑問が解消され、自社や自宅で保管している物が消防法上どのような扱いになるのか判断できるようになるでしょう。

指定可燃物とは?
指定可燃物とは、消防法第9条の4に基づき、「火災が発生した場合に、その拡大が速やかであったり、消火活動が著しく困難になったりするおそれがある物品」として、一定量以上の貯蔵や取扱いについて規制されているものをいいます。
「指定可燃物」という名前を聞くと、
「危険物の一種なの?」
と思う方も多いかもしれません。
しかし、指定可燃物はガソリンや灯油などの危険物とは異なる制度です。
危険物は、引火性や発火性など危険な性質を持つ物質そのものを規制しています。一方、指定可燃物は、木材や紙類、綿、タイヤ、合成樹脂類など、身近な物品であっても大量に保管することで火災の危険性が高まるため、消防法によって管理されているものです。
例えば、ダンボールが数箱置いてあるだけなら大きな問題にはなりません。しかし、倉庫や工場で大量に積み上げて保管すると、火災が発生した際に短時間で燃え広がり、消火活動も難しくなる可能性があります。
このような大規模火災を未然に防ぐため、消防法では指定可燃物を定め、安全な保管や取扱いを求めています。
また、指定可燃物の品目や基準数量は消防法だけで完結するものではありません。
✅ 品目や数量は政令で定められている
✅ 貯蔵や取扱いの具体的な基準は各市町村の火災予防条例で定められている
という仕組みになっています。
つまり、「指定可燃物に該当するか」だけでなく、「どれくらいの量を保管するか」「どこの自治体で保管するか」によって必要な対応が変わる場合があるため注意が必要です。
💡 まずは、指定可燃物とは「危険物ではないものの、大量に保管・取り扱うことで火災危険性が高まるため、消防法で規制されている物品」と覚えておくと理解しやすいでしょう。
指定可燃物の種類と数量
消防法では、指定可燃物ごとに「指定可燃物となる数量」が定められています。また、多くの自治体では、さらに一定量を超えると消防署への届出が必要になります。
※届出基準は自治体によって異なる場合があるため、必ず管轄消防署や火災予防条例を確認してください。
| 品名 | 指定可燃物となる数量 | 届出が必要となる数量 |
|---|---|---|
| 綿花類 | 200kg | 1,000kg |
| 木毛・かんなくず | 400kg | 2,000kg |
| ぼろ・紙くず | 1,000kg | 5,000kg |
| 糸類 | 1,000kg | 5,000kg |
| わら類 | 1,000kg | 5,000kg |
| 再生資源燃料 | 1,000kg | 1,000kg |
| 可燃性固体類 | 3,000kg | 3,000kg |
| 石炭・木炭類 | 10,000kg | 50,000kg |
| 可燃性液体類 | 2㎥ | 2㎥ |
| 木材加工品・木くず | 10㎥ | 50㎥ |
| 合成樹脂類(発泡させたもの) | 20㎥ | 20㎥ |
| 合成樹脂類(その他) | 3,000kg | 3,000kg |
💡 ポイント
✔ 「指定可燃物となる数量」と「届出が必要となる数量」は同じとは限りません。
✔ 再生資源燃料や可燃性固体類、可燃性液体類、合成樹脂類などは、指定可燃物になる数量=届出基準となっているものもあります。
✔ 木材加工品や紙類、タイヤなど、事業所で日常的に取り扱う物品が対象になるケースも多いため、倉庫や工場、建築資材置場などでは特に注意が必要です。
指定可燃物の品目ごとの定義をわかりやすく解説
「指定可燃物にはどんなものがあるの?」
と思う方も多いでしょう。
消防法では11種類の指定可燃物が定められていますが、名前だけではイメージしにくいものも少なくありません。
そこで、この章では代表的な品目について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
綿花類
綿花類とは、不燃性や難燃性ではない綿状や帯状の繊維、麻糸の原料などをいいます。
天然繊維だけでなく、合成繊維も含まれるのが特徴です。
主な例
✅ 綿花
✅ 羊毛
✅ 羽毛
✅ 麻糸原料
✅ トップ状の繊維
一方で、
❌ ガラス繊維
❌ 石綿
❌ 難燃性繊維
などは対象外です。
大量に保管すると空気を含みやすく、一度燃え始めると火災が急速に拡大する危険があります。
木毛及びかんなくず
木毛とは、木材を細長く削ったもので、主に梱包材や緩衝材として使用されるものをいいます。
かんなくずは、木材をかんなで削った際に発生する削りくずです。
主な例
✅ 木毛
✅ 木炭
✅ 木繊維
✅ かんなくず
なお、
❌ おがくず
❌ 製材時の廃材
❌ 木端
は別の「木材加工品及び木くず」に分類されます。
ぼろ及び紙くず
ぼろ及び紙くずとは、本来の用途を終え、廃棄物となった布類や紙類をいいます。
油が染み込んだものも対象です。
主な例
✅ 古新聞
✅ 古雑誌
✅ ダンボール
✅ 製本の切れ端
✅ 古着
✅ ウエス
資源回収施設や古紙倉庫などでは大量保管されることが多く、火災時には急激に燃え広がる危険があります。
糸類
糸類とは、不燃性や難燃性でない糸や糸くず、繭をいいます。
天然素材か合成素材かは問いません。
主な例
✅ 綿糸
✅ 麻糸
✅ 毛糸
✅ 化学繊維糸
✅ スフ糸
✅ 釣り糸
✅ 繭
紡績工場や繊維工場などで多く取り扱われています。
わら類
わら類とは、乾燥したわらや藺草、干し草、それらを加工した製品をいいます。
主な例
✅ わら
✅ 干し草
✅ 俵
✅ 縄
✅ むしろ
✅ 畳表
✅ ござ
乾燥した植物は自然発火する危険もあるため、適切な管理が必要です。
再生資源燃料
再生資源燃料とは、リサイクル資源を原料として製造された燃料です。
主な例
✅ RDF(ごみ固形燃料)
✅ RPF(廃プラスチック固形燃料)
✅ 木質ペレット
近年、環境対策として利用が増えており、消防法上も指定可燃物として管理されています。
可燃性固体類
可燃性固体類とは、一定の引火点や燃焼熱量を持つ固体をいいます。
専門的な定義ですが、
「燃えやすい固体状の化学物質」
と考えるとイメージしやすいでしょう。
主な例
✅ ナフタリン
✅ フェノール
✅ 石油アスファルト
✅ コールタールピッチ
✅ ステアリン酸メチル
工場や化学製品を扱う事業所で取り扱われることが多い物品です。
石炭・木炭類
石炭や木炭だけでなく、それらを加工した燃料も含まれます。
主な例
✅ 石炭
✅ 木炭
✅ コークス
✅ 石油コークス
✅ 活性炭
✅ 豆炭
✅ 練炭
燃料として利用されるため、大量保管時には火災対策が必要です。
可燃性液体類
可燃性液体類とは、消防法上の危険物から除外される液体などで、一定の条件を満たすものをいいます。
主な例
✅ 一部の動植物油
✅ 一定条件の石油製品
✅ 引火点250℃以上の液体
「危険物ではないから安心」というわけではなく、大量保管すると指定可燃物として規制される場合があります。
木材加工品及び木くず
木材加工品とは、加工された木製品をいいます。
木くずは、製材工程で発生する廃材などです。
主な例
✅ 板材
✅ 柱
✅ 家具
✅ 電柱
✅ 建築用足場丸太
✅ おがくず
✅ 木端
✅ 製材廃材
なお、
❌ 水中に保管している木材
❌ 一般的な丸太
は対象外となります。
合成樹脂類
合成樹脂類とは、不燃性や難燃性でないプラスチック製品やゴム製品などをいいます。
主な例
✅ ポリエチレン
✅ ポリプロピレン
✅ ポリスチレン
✅ ABS樹脂
✅ アクリル樹脂
✅ 発泡スチロール
✅ ゴム製品
✅ ゴムくず
特に、
発泡スチロールや梱包用緩衝材は「発泡された合成樹脂類」
として規制対象になることがあります。
また、タイヤや再生ゴムなども含まれるため、自動車関連事業者も注意が必要です。
少量危険物・指定可燃物貯蔵取扱い届出書の記入要領
※自治体によっては様式が異なる場合があります。

(1)届出種別
「少量危険物」「指定可燃物」「貯蔵」「取扱い」のうち、該当しないものを二重線で抹消するか、〇で囲みます。
ポイント
- 貯蔵のみ→「取扱い」を抹消
- 取扱いのみ→「貯蔵」を抹消
- 両方行う場合はそのまま
(2)年月日
届出日を記入します。
ポイント
- 和暦で記入する自治体が一般的
- 提出日と同じ日付を記載
(3)宛先
管轄する消防本部(消防署)の消防長宛てに記入します。
例
- ○○市消防本部消防長
- ○○消防署長
自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。
(4)届出者
少量危険物や指定可燃物を貯蔵・取扱いする者を記入します。
個人の場合
- 住所
- 氏名
- 電話番号
法人の場合
- 法人所在地
- 法人名
- 電話番号
- 代表者の役職・氏名
押印が必要な自治体もあるため確認しましょう。
(5)所在地(地名地番)
貯蔵又は取扱いを行う場所の所在地を記入します。
ポイント
- 建物名ではなく地番まで記載
- 住居表示と異なる場合は注意
(6)名称
貯蔵又は取扱いを行う施設名を記入します。
記入例
- ○○工場
- ○○クリーニング店
- ○○給油所
略称は使用せず、正式名称を記入しましょう。
(7)類・品名及び最大数量
消防法別表に基づく類別、品名及び最大数量を記入します。
記載する内容は
- 類 (指定可燃物の場合は類は不要です。)
- 品名
- 最大貯蔵数量
- 一日最大取扱数量
です。
例
| 類 | 品名 | 最大貯蔵数量 |
|---|---|---|
| 第四類 | 第二石油類(灯油) | 4,000L |
物品名も併せて記載すると分かりやすくなります。
(8)貯蔵又は取扱い方法の概要
危険物等をどのように使用・管理するのかを具体的に記入します。
記載例
- 地下タンクからサービスタンクへ供給する。
- ボイラー燃料として消費する。
- ドラム缶から小分けして使用する。
消防署が状況をイメージできる程度に記載しましょう。
(9)貯蔵又は取扱い場所の位置、構造及び設備の概要
設置場所や設備の概要を記載します。
記載例
- 建物1階東側機械室に設置
- 屋外タンク貯蔵所隣接
- 容量○○Lのサービスタンク
図面や仕様書がある場合は、
「別紙参照」
として添付することも可能です。
(10)消防用設備等の概要
設置している消防用設備等を記入します。
例
- ABC粉末消火器10型 2本
- 泡消火設備
- 自動火災報知設備
設備の種類と数量を記載しましょう。
(11)貯蔵又は取扱いの開始予定期日又は期間
開始日または実施期間を記入します。
例
- 令和○年○月○日
- 令和○年○月○日~令和○年○月○日
和暦での記載が一般的です。
(12)その他必要な事項
消防署へ伝えておくべき事項を記入します。
例
- 新規設置
- 既設設備の変更
- 標識及び掲示板を設置
- 危険物品名の追加
変更届の場合は変更内容が分かるように記載すると親切です。
届出時の注意事項
届出書を提出する際は、次の点にも注意しましょう。
正副2部提出する
多くの消防本部では、
- 正本1部
- 副本1部
の合計2部提出します。
危険物ごとに届出が必要な場合がある
同一場所で複数の少量危険物を取り扱う場合は、
危険物ごとに届出書を作成する
よう求められることがあります。
添付書類を忘れない
必要に応じて、
- 案内図
- 配置図
- 平面図
- 構造図
- 配管図
- 仕様書
などを添付します。
自治体ごとに運用が異なる
届出様式は全国的に似ていますが、
- 押印の有無
- 添付書類
- 提出部数
- 記載方法
などが異なる場合があります。
提出前に管轄消防本部へ確認すると安心です。
建物だけでなく家庭の火災対策も重要!住宅用火災警報器や防災グッズを見直そう
火災対策は大型建築物だけの話ではありません。
実際、住宅火災でも「早く火災に気付き、早く避難すること」が被害を最小限に抑える大切なポイントになります。
消防法では、すべての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務付けられており、設置後も定期的な点検や交換が推奨されています。
また、住宅用火災警報器だけでなく、
・消火器
・消火スプレー
・非常用持出袋
・懐中電灯
・防災ラジオ
などを備えておくことで、万が一の火災や災害時にも落ち着いて対応しやすくなります。
特に住宅用火災警報器は、本体の寿命が約10年とされており、
「設置したまま一度も確認していない」
という家庭も少なくありません。
家庭で確認したい防災グッズ
✅ 住宅用火災警報器(設置・交換時期)
✅ 家庭用消火器・消火スプレー
✅ 非常用持出袋
✅ LED懐中電灯
✅ モバイルバッテリー
✅ 防災ラジオ
火災対策で最も重要なのは、
**「火災を早く発見し、安全に避難すること」**です。
日頃から備えておくことが、自分や家族の命を守ることにつながります
まとめ|指定可燃物は「何が対象か」と「適切な管理」を知ることが大切
指定可燃物は、ガソリンなどの危険物とは異なりますが、大量に貯蔵・取り扱うことで火災の危険性が高まるため、消防法や火災予防条例によって規制されています。
この記事のポイントを振り返ると、次のとおりです。
✅ 指定可燃物とは、大量に保管すると火災危険性が高まる物品のこと
✅ 木材や紙類、タイヤ、発泡スチロールなど、身近なものも対象になる
✅ 品目ごとに指定数量や届出基準が定められている
✅ 可燃性液体類や可燃性固体類には、容器や表示、積み重ね高さなどの技術基準がある
✅ 大量に保管する場合は、空地の確保や不燃材料による区画など、防火対策が必要になる
特に、倉庫や工場、建築資材置場、リサイクル施設、ホームセンターなどでは、
「危険物ではないから大丈夫」
と思っていた物品が、実は指定可燃物に該当しているケースも少なくありません。
また、指定可燃物は消防法だけでなく、各自治体の火災予防条例によって細かな基準が定められているため、保管する場所によって必要な対応が異なる場合があります。
火災を未然に防ぎ、安全な事業運営を行うためにも、
⭐ 「何が指定可燃物に該当するのか」
⭐ 「どれくらいの量から規制されるのか」
⭐ 「適切な保管方法や届出は何か」
を正しく理解しておくことが重要です。
指定可燃物の保管や消防手続きでお困りの方へ
「この物品は指定可燃物に該当する?」
「消防署への届出は必要?」
「倉庫や工場の保管方法はこれで大丈夫?」
「消防査察で指摘されないためには?」
このようなお悩みはありませんか?
指定可燃物は、品目や数量だけでなく、建物の用途や保管方法、各自治体の火災予防条例によって必要な対応が変わる場合があります。
Fssトータルサポートでは、
✅ 指定可燃物の該当性の確認
✅ 消防署への事前相談サポート
✅ 各種消防関係書類の作成支援
✅ 建物や倉庫の消防法令チェック
✅ 飲食店や事業所の開業に伴う消防手続きのサポート
✅ 消防査察や是正指導への対応相談
などを行っています。
「うちの場合はどうなるんだろう?」
という段階でも構いません。
事前に確認しておくことで、届出漏れや消防査察での指摘、大規模な改修工事などのリスクを減らすことにもつながります。
📩 指定可燃物や消防法に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください!



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