防火対象物 用途別項判定解説

不動産権利関係

「この建物って、何項になるんだろう?」
消防の用途判定で、こんな疑問を持ったことはありませんか?

実はこの“用途判定”、ただの分類ではありません。
スプリンクラーや自動火災報知設備など、必要な消防設備はすべてこの判定で決まります。
つまり、用途を間違えると「設備不足=法令違反」や「後から高額な追加工事」といったリスクにつながります。

特に、飲食店・福祉施設・民泊・テナントビルなどは、
見た目や名称だけでは判断できず、実務でも間違いが多いポイントです。

この記事では、消防法施行令「別表第一」をもとに、
防火対象物の用途区分を一覧表でわかりやすく整理し、
さらに実務で迷いやすい「16項(複合用途)」の考え方も含めて解説します。

まずは全体像をつかみ、自分の建物がどの用途に該当するのか確認していきましょう。

【完全版】別表第一 防火対象物一覧(用途判定用)

※〇は特定防火対象物


(1項)集客施設

区分種類具体例
イ 〇劇場、映画館、演芸場、観覧場劇場、映画館、演芸場、観覧場、寄席、音楽ホール、興行場、サーカス小屋、ストリップ劇場、競技場、競馬場、競輪場、競艇場、野球場、その他スポーツ競技場で観覧席を有するものなど
ロ 〇公会堂、集会場公会堂、県民会館、市民会館、文化会館、集会場、公民館、コミュニティーセンター、福祉会館、結婚式場、葬儀場など

(2項)風俗・遊技施設

区分種類具体例
イ 〇キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、その他これらに類するものキャバレー、クラブ、バー、サロン、キャバクラ、パブ、スナック、スタンドバー、ホストクラブなど
ロ 〇遊技場、ダンスホール麻雀屋、パチンコ店、ボーリング場、ゲームセンター、スケート場、ダンス教室、ダンスホールなど
 性風俗関連特殊営業を営む店舗、その他これらに類するものファッションヘルス、製缶マッサージ、イメージクラブ、SMクラブ、ヌードスタジオ、出会い系喫茶など
ニ 〇カラオケボックス、個室型遊興施設カラオケ、ネットカフェ、個室ビデオなど

(3項)飲食店

区分種類具体例
イ 〇待合、料理店、その他これらに類するもの料亭、割烹、待合など
ロ 〇飲食店食堂、レストラン、そば屋、すし屋、喫茶店、スナック、酒場、居酒屋、小料理店(接待を伴わないもの)など

(4項)物販・展示

区分種類具体例
ー 〇物販・展示百貨店、デパート、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、家電量販店、家具店、自動車用品店、書店、ペットショップ、CD・DVDショップ、アダルトショップ、ホームセンター、100円ショップ、展示場、見本市会場、ガソリンスタンド など

(5項)宿泊・住宅

区分種類具体例
イ 〇宿泊施設旅館、ホテル、ビジネスホテル、カプセルホテル、民宿、ペンション、ユースホステル、山小屋、海の家、保養所、寮(宿泊用途)、ラブホテル、モーテル、民泊(届出住宅)など
共同住宅マンション、アパート、共同住宅、ワンルームマンション、シルバーマンション、ウィークリーマンション、寄宿舎、下宿、社員寮、官公庁宿舎 など

(6項)医療・福祉

6項イ

区分種類具体例
(1)〇高リスク病院・特定診療科目を有する※1
・一般病床又は療養病床を有する
どちらにも該当する病院
(2診療所・特定診療科目を有する※1
・4 人以上の患者を入院させるための施設を有する。
どちらにも該当する診療所
(3)〇その他入院施設・上記以外の病院
・上記以外の有床診療所
・入所施設を有する助産所
(4)〇外来のみ・無床診療所
・無床助産所

※1 内科、外科、精神科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科
放射線科、病理診断科、臨床検査科、救急科

6項ロ

区分種類具定例
(1)〇老人ホーム等老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、老人短期入所事業を行う施設、小規模多機能型居宅介護事業を行う施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行うし施設など
(2救護施設救護施設
(3)〇乳児院乳児院
(4)〇障害児入所施設障害児入所施設
(5)〇障害者支援施設障害者支援施設

6項ハ

区分種類具定例
(1)〇老人デイサービスセンター等老人デイサービスセンター、老人福祉センター、老人介護支援センター、軽費老人ホーム、有料老人ホーム※老人ホームは6項ロ(1)に掲げるものを除く
(2更生施設厚生施設
(3)〇助産施設等助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターなど
(4)〇児童発達センター等児童発達支援センター、児童心理治療施設、放課後等デイサービスなど
(5)〇身体障害者福祉センター等身体障害者福祉センター、障碍者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホームなど

6項ニ

区分種類具体例
ー 〇幼稚園、特別支援学校幼稚園、特別支援学校など

(7項)学校

区分種類具体例
ー 〇小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの小学校、中学校、高校、中等教育学校、高専、大学、短大、専修学校、各種学校、予備校、学習塾、各種教室 など

(8項)文化施設

区分種類具体例
ー 〇図書館、博物館、美術館その他に類するもの図書館、国立国会図書館、博物館、美術館、水族館、動物園、植物園、資料館、記念館、ミュージアム など

(9項)浴場

区分種類具体例
イ 〇公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するものサウナ、蒸気浴場、砂風呂、個室付浴場(ソープランド等)、かまぶろ など
9項イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場銭湯、共同風呂、日帰り温泉 など

(10項)交通施設

区分種類具体例
ー 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場駅、鉄道施設、バスターミナル、空港、旅客ターミナル、港湾施設、フェリー乗り場 など

(11項)宗教施設

区分種類具体例
ー 神社、寺院、教会その他これらに類するもの神社、神宮、寺院、教会、モスク、宗教施設 など

(12項)工場等

区分種類具体例
イ 工場、作業所工場、製造工場、加工工場、食品工場、印刷工場、木工所、鉄工所、自動車整備工場、修理工場 など
スタジオ等映画撮影所、テレビスタジオ、映像制作スタジオ、放送スタジオ など

(13項)車庫、格納庫

区分種類具体例
イ 自動車車庫、駐車場駐車場、立体駐車場、コインパーキング、月極駐車場、バス車庫、タクシー車庫、運送会社車庫、消防署車庫 など
飛行機又は回転翼航空機の格納庫飛行機格納庫、航空機ハンガー、ヘリコプター格納庫、航空会社施設、防災ヘリ施設 など

(14項)倉庫

区分種類具体例
ー 倉庫倉庫、物流倉庫、冷蔵倉庫、冷凍倉庫、定温倉庫、ラック式倉庫、農業倉庫、穀物乾燥施設 など

(15項)前各号に該当しない事業所

区分種類具体例
ー (1)項から(14)項までに該当しない事業場事務所、会社、銀行、信用金庫、郵便局、理容室、美容室、発電所、変電所、ごみ処理施設、火葬場、荷さばき所 など

(16項)複合施設

区分種類具体例
イ 〇複合用途防火対象物ののうち、その一部が(1)から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの雑居ビル、道の駅、ドライブインなど
(16)項イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物同上

まとめ

消防法の用途区分は、消防設備の設置義務を判断するための重要な基準です。
そのため、用途を誤ると設備不足となり、法令違反や事故につながる可能性があります。

用途を判断する際は、建物の名前ではなく「実際の使われ方(実態)」で考えることが大切です。
また、複数の用途が混在している場合は16項(複合用途)となり、さらに危険性の高い用途を含む場合は16項イとして扱われます。

迷った場合は、
「単一用途か」「複合用途か」「危険用途を含むか」
の順で整理すると判断しやすくなります。

本記事の一覧を参考に、自身の建物の用途を正しく把握し、適切な消防設備の設置につなげていきましょう。

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