劇場や映画館、公会堂、集会場は、多くの人が一度に利用する施設であるため、消防法では比較的厳しい消防用設備等の設置基準が定められています。
しかし、
- 「どの設備が必要なの?」
- 「面積によって何が変わるの?」
- 「劇場と集会場で違いはある?」
と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、消防法施行令別表第1の1項イ(劇場・映画館等)、**1項ロ(公会堂・集会場)**について、
- 必要となる消防用設備
- 設置基準
- 注意すべきポイント
をわかりやすく解説します。
1項イ・1項ロとは?
まず対象となる用途を確認しましょう。
| 区分 | 用途 |
|---|---|
| 1項イ | 劇場・映画館・演芸場・観覧場など |
| 1項ロ | 公会堂・集会場 |
どちらも多数の利用者が集まる施設であり、避難安全性が特に重視されます。

1項イ・1項ロに必要な消防用設備一覧
1項イ・1項ロでは、面積・階数・収容人員・舞台部の有無などにより必要な消防用設備が変わります。それぞれ確認していきましょう。
消火器
- 1項イ:原則すべて
- 1項ロ
- 延べ150㎡以上
- 地階・無窓階・3階以上で50㎡以上
- 少量危険物・指定可燃物がある場合
劇場や集会場では最も基本となる消防設備です。

屋内消火栓設備
- 延べ面積500㎡以上
- 地階・無窓階・4階以上で100㎡以上
- 指定可燃物750倍以上
劇場では舞台設備など火災負荷が高くなるため重要です。
※倍読み規定についてはこちらを参照

スプリンクラー設備
- 舞台部
- 地階・無窓階又は4階以上の階:300㎡以上
- その他の階:500㎡以上
- 平屋以外で延べ:6,000㎡以上
- 地階・無窓階:1,000㎡以上
- 4階以上10階以下の階:1,500㎡以上
- 11階以上:全部
- 指定可燃物:1,000倍以上
屋外消火栓設備
1・2階の床面積合計が
- 耐火建築物:9,000㎡以上
- 準耐火建築物:6,000㎡以上
- その他:3,000㎡以上
となる場合に必要です。
動力消防ポンプ設備
屋内・屋外消火栓設備の対象施設に設置することで消火栓設備を減免又は免除となります。
自動火災報知設備
- 延べ300㎡以上
- 特定1階段防火対象物
- 指定可燃物500倍以上
- 駐車場部分:地階・2階以上の階で床面積200㎡以上
- 11階以上:全部
- 道路の用に供する部分
- 屋上部分:600㎡以上
- 上記以外の部分:400㎡以上
劇場や集会場では最も重要な設備の一つです。
ガス漏れ火災警報設備
- 地階床面積1,000㎡以上
- 温泉の取得のための設備(総務省令で定めるもの)が設置
漏電火災警報器
- 延べ300㎡以上(壁・床・天井のいずれかに木材などの可燃材料が使われており、かつ鉄網(ラス)が使用されている建築物)
- 契約電流50アンペア超
消防機関へ通報する火災報知設備
延べ500㎡以上
火災発生時に119番通報を自動または容易に行える設備です。
非常警報設備
非常ベル・自動式サイレン等
- 収容人員50人以上
- 地階・無窓階20人以上
ベル+放送設備
- 収容人員300人以上
- 地階を除き11階以上
- 地階3階以上
多数の利用者を安全に誘導するために重要です。
避難器具
- 2階以上の階又は地階:収容人員が50人以上
- 特定1階段防火対象物で3階以上の階:収容人員が10人以上
避難はしごや救助袋などが設置されます。
誘導灯・誘導標識
- 避難口:全部(床面積1000㎡以上 A級またはB級、20cd以上又は点滅機能を有するもの)
- 通路:全部(床面積1000㎡以上 A級またはB級、25cd以上)
- 客席:全部(客席内通路床面の水平面で、0.2ルクス以上)
- 誘導標識:全部(避難口・通路誘導灯の有効範囲は設置を要しない)
劇場・映画館では停電時でも避難経路を示すため必須の設備です。
消防用水
以下の規模で必要になります。
敷地面積2万㎡以上で
- 耐火:15,000㎡以上
- 準耐火:10,000㎡以上
- その他:5,000㎡以上
また、
高さ31m超かつ延べ25,000㎡以上でも対象です。
排煙設備
舞台部500㎡以上
煙を効率よく排出し、避難安全性を高めます。
連結散水設備
地下階床面積合計700㎡以上
連結送水管
- 地階を除く階数が7階以上
- 地階を除く階数が5階以上で、延べ6,000㎡以上
- 道路の用に供される部分を有するもの
非常コンセント設備
11階以上の階に設置します。
消防隊が活動時に使用する電源です。
消防用設備等設置届
- 延べ面積300㎡以上
- 特定1階段防火対象物
消防用設備等点検・報告
- 延べ面積1000㎡以上
- 特定1階段防火対象物
まとめ
1項イ(劇場・映画館等)・1項ロ(公会堂・集会場)は、不特定多数が利用する施設であることから、消防法上でも特に多くの消防用設備等の設置が義務付けられています。
設置が必要かどうかは、延べ面積だけでなく、収容人員・階数・舞台部の有無・地階・無窓階など複数の条件によって決まります。
建物の新築や用途変更、改修を予定している場合は、早い段階で消防署や消防設備業者へ相談し、必要な設備を確認しておくことが大切です。
消防設備の設置・届出でお困りではありませんか?
「この建物にはどの消防設備が必要?」
「用途変更したら設備は追加になる?」
「消防署への届出や設置基準がよく分からない…」
そんな場合は、お気軽にご相談ください。
消防法令に基づき、
- 消防用設備の設置対象判定
- 必要設備の確認
- 消防署との事前協議
- 各種届出書類の作成サポート
まで、わかりやすくサポートいたします。



コメント