防火対象物 用途別項判定解説

不動産権利関係

「この建物って、何項になるんだろう?」
消防の用途判定で、こんな疑問を持ったことはありませんか?

実はこの“用途判定”、ただの分類ではありません。
スプリンクラーや自動火災報知設備など、必要な消防設備はすべてこの判定で決まります。
つまり、用途を間違えると「設備不足=法令違反」や「後から高額な追加工事」といったリスクにつながります。

特に、飲食店・福祉施設・民泊・テナントビルなどは、
見た目や名称だけでは判断できず、実務でも間違いが多いポイントです。

この記事では、消防法施行令「別表第一」をもとに、
防火対象物の用途区分を一覧表でわかりやすく整理し、
さらに実務で迷いやすい「16項(複合用途)」の考え方も含めて解説します。

まずは全体像をつかみ、自分の建物がどの用途に該当するのか確認していきましょう。

【完全版】別表第一 防火対象物一覧(詳細表|用途判定用)


■(1項)集客施設

区分用途具体例
興行場劇場、映画館、演芸場、観覧場
集会施設公会堂、集会場

■(2項)風俗・遊技施設

区分用途具体例
接待飲食等キャバレー、ナイトクラブ、カフェー
遊技施設パチンコ、ゲームセンター、ダンスホール
性風俗関連デリヘル、風俗店等
個室型遊興施設カラオケ、ネットカフェ、個室ビデオ

👉 個室・暗所・酩酊 → 避難困難性高い


■(3項)飲食店

区分用途具体例
高級飲食料亭、割烹、待合
一般飲食レストラン、居酒屋、食堂

■(4項)物販・展示

区分用途具体例
物販・展示百貨店、スーパー、販売店、展示場

■(5項)宿泊・住宅

区分用途具体例
宿泊施設旅館、ホテル、民泊
共同住宅アパート、マンション、下宿

■(6項)医療・福祉(超重要)

●6項イ(重症・入院系)

区分用途内容
高リスク病院特定診療科+入院あり
診療所4人以上入院可能
その他入院施設病院・助産所など
外来のみ入院なし診療所

👉 医療法に基づく区分あり


●6項ロ(要介護者施設)

用途
特養、老健、有料老人ホーム(重介護)
グループホーム
障害者支援施設(重度)
乳児院、救護施設など

👉 避難困難者=最も規制厳しいゾーン


●6項ハ(通所・軽度施設)

用途
デイサービス
保育所
軽費老人ホーム
障害福祉(通所系)

●6項ニ(教育系)

用途
幼稚園、特別支援学校

■(7項)学校

用途
小学校、中学校、高校、大学、専門学校

■(8項)文化施設

用途
図書館、博物館、美術館

■(9項)浴場

区分用途
サウナ、蒸気浴場
一般浴場

■(10項)交通施設

用途
駅、空港、バスターミナル

■(11項)宗教施設

用途
神社、寺院、教会

■(12項)工場等

区分用途
工場、作業場
スタジオ等

■(13項)危険物関連

区分用途
車庫、格納庫
危険物施設

■(14項)倉庫

用途
倉庫

■(15項)前各号に該当しない事業所

用途
事業所

■(16項)複合施設

区分用途
複合用途のうち特定用途を含む
特定用途を含まない複合用途

■ 消防法 用途区分ごとの主な該当施設例一覧(完全版)

区分主な該当施設例
1項劇場、ヌード劇場、映画館、演芸場、観覧場、競技場、競馬場、競輪場、競艇場、オートレース場、野球場、相撲場、サッカー場、テニス場、各種スポーツ競技場(観覧席あり)、体育館、アイススケート場 など
1項公会堂、県民会館、市民会館、文化会館、集会場、公民館、コミュニティセンター、福祉会館、貸しホール、結婚式場、葬儀場、学校講堂(客席あり)、寺社付属式場 など
2項キャバレー、クラブ、バー、サロン(ピンサロ含む)、キャバクラ、パブ、スナック、スタンドバー、ホストクラブ、ディスコ など
2項麻雀店、パチンコ店、スロット店、囲碁将棋施設、ビリヤード場、スマートボール場、ボーリング場、ゲームセンター、屋内アイススケート場、屋内ローラースケート場(観覧席なし)、ダンス教室、ダンスホール など
2項ファッションヘルス、性風俗店、イメクラ、SMクラブ、ヌードスタジオ、のぞき劇場、テレクラ、セリクラブ、出会い系喫茶 など
2項カラオケボックス、漫画喫茶、複合カフェ、インターネットカフェ、個室ビデオ店、個室型テレクラ など
3項料亭、割烹、待合、茶屋 など
3項レストラン、食堂、居酒屋、寿司屋、そば屋、喫茶店、バー(接待なし)、スナック(接待なし)、ビヤホール、小料理屋 など
4項百貨店、デパート、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、家電量販店、家具店、自動車用品店、書店、ペットショップ、CD・DVDショップ、アダルトショップ、ホームセンター、100円ショップ、展示場、見本市会場、ガソリンスタンド など
5項旅館、ホテル、ビジネスホテル、カプセルホテル、民宿、ペンション、ユースホステル、山小屋、海の家、保養所、寮(宿泊用途)、ラブホテル、モーテル、民泊(届出住宅) など
5項マンション、アパート、共同住宅、ワンルームマンション、シルバーマンション、ウィークリーマンション、寄宿舎、下宿、社員寮、官公庁宿舎 など
6項病院、総合病院、地域医療支援病院、特定機能病院、診療所(入院あり)、医院、歯科医院、産院、療養所、介護医療院 など
6項特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホーム(要介護)、グループホーム、短期入所施設、障害者支援施設、乳児院、救護施設 など
6項デイサービス、通所介護、保育所、軽費老人ホーム、障害福祉(通所)、児童福祉施設 など
6項幼稚園、特別支援学校 など
7項小学校、中学校、高校、中等教育学校、高専、大学、短大、専修学校、各種学校、予備校、学習塾、各種教室 など
8項図書館、国立国会図書館、博物館、美術館、水族館、動物園、植物園、資料館、記念館、ミュージアム など
9項サウナ、蒸気浴場、砂風呂、個室付浴場(ソープランド等)、かまぶろ など
9項銭湯、公衆浴場、日帰り温泉、共同浴場、スーパー銭湯 など
10項駅、鉄道施設、バスターミナル、空港、旅客ターミナル、港湾施設、フェリー乗り場 など
11項神社、神宮、寺院、教会、モスク、宗教施設 など
12項工場、製造工場、加工工場、食品工場、印刷工場、木工所、鉄工所、自動車整備工場、修理工場 など
12項映画撮影所、テレビスタジオ、映像制作スタジオ、放送スタジオ など
13項駐車場、立体駐車場、コインパーキング、月極駐車場、バス車庫、タクシー車庫、運送会社車庫、消防署車庫 など
13項飛行機格納庫、航空機ハンガー、ヘリコプター格納庫、航空会社施設、防災ヘリ施設 など
14項倉庫、物流倉庫、冷蔵倉庫、冷凍倉庫、定温倉庫、ラック式倉庫、農業倉庫、穀物乾燥施設 など
15項事務所、会社、銀行、信用金庫、郵便局、理容室、美容室、発電所、変電所、ごみ処理施設、火葬場、荷さばき所 など
16項複合用途ビル、雑居ビル、商業複合施設、道の駅、ドライブイン など
16項飲食店+事務所、ホテル+店舗、病院+テナント、福祉施設+商業施設 など

■ まとめ

消防法の用途区分は、消防設備の設置義務を判断するための重要な基準です。
そのため、用途を誤ると設備不足となり、法令違反や事故につながる可能性があります。

用途を判断する際は、建物の名前ではなく「実際の使われ方(実態)」で考えることが大切です。
また、複数の用途が混在している場合は16項(複合用途)となり、さらに危険性の高い用途を含む場合は16項イとして扱われます。

迷った場合は、
「単一用途か」「複合用途か」「危険用途を含むか」
の順で整理すると判断しやすくなります。

本記事の一覧を参考に、自身の建物の用途を正しく把握し、適切な消防設備の設置につなげていきましょう。

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